第106章 南雲泉が詰問される

「お父さん、これらすべてを私に任せてくれたということは、私の判断に任せてくれるということでしょうか?」南雲泉は真剣に尋ねた。

結城明彦は慎重に頷いて言った。「そうだ、お前の判断に任せる。」

その言葉を聞いて、南雲泉は安心した。

「お父さん、これらの写真を暁に見せましたか?」

「まだだ。」

「彼が見ていないのなら、永遠に見せないでほしいです。」

南雲泉はそう言うと、片手で写真の端を持ち、もう片方の手でもう一方の端を持って、すぐに写真を二つに引き裂いた。

「泉、よく考えろ。これは私たちがお前に与えられる唯一の切り札かもしれない。本当に破棄するのか。」

「お父さん、ご心配ありがとうございます。よく考えました。」

南雲泉は残りの写真も二つに引き裂き、さらに何度も折って細かく裂いた。

すべての写真が細かな破片になってから、南雲泉は顔を上げて結城明彦を見た。「お父さん、あなたとお母さんの深い愛情に感謝します。私のことを思ってくれているのは分かっています。」

「でも、こんな悲しい方法で暁との結婚を縛りたくありません。私たちに愛情があれば、このような手段は必要ありません。もし愛情がないのなら、このような方法で彼を縛り付けても何の意味もありません。」

「愛のない結婚は、ただの死んだ水たまりです。もし本当に彼と決裂する日が来たら、別れることが最善の結末だと思います。」

これらの言葉に、結城明彦も深く共感した。

彼にも分かっていた。愛のない結婚は確かに死んだ水たまりだと。例えば、彼と雲居詩織のように。

「わかった。お前がそう言うなら、父さんも強要はしない。ただ、私たちはお前たちが上手くいってほしいと願っているよ。」

「お父さん、ご安心ください。私、頑張ります。」

結城家を出るとき、南雲泉は思いがけず結城柔に出会った。

今回の出会いで、結城柔は以前より従順になっており、珍しく皮肉を言うこともなかった。

南雲泉は推測した。結城家の後ろ盾を失った結城柔と彼女の母親の生活は、きっと良くないのだろう。

そうでなければ、こんなに穏やかに接し、自ら挨拶をすることはないはずだ。

南雲泉の推測は正しかった。結城柔が今回結城家を訪れたのは、結城明彦に血縁関係を理由に、彼女と母親に援助してもらうことを期待してのことだった。