ドアが開く音を聞いて、南雲泉はすぐに泣き止んだ。顔を上げ、手で涙を乱暴に拭った。
しかし、手に付いていた刃物の血を忘れていた。拭った瞬間、顔中が血で染まってしまった。
筋状の血痕が、目立って鮮明で、遠くから見ると、かなり恐ろしい光景だった。
結城暁は南雲泉の顔の血を見て大きく驚き、急いで駆け寄り、彼女の顔を両手で包み込んで焦って尋ねた。「泉、どうしたんだ?顔からこんなに血が…」
「大丈夫」南雲泉は手を伸ばし、冷たく彼を押しのけた。
「こんなに血が出てるのに、大丈夫なわけないだろう?」
「私の血じゃないわ」
結城暁は諦めず、身を屈めて南雲泉をベッドに抱き上げ、タオルを濡らして、温かいタオルで彼女の顔の血を一つ一つ丁寧に拭き取った。
血を拭き取った後、顔に傷がないことを確認してようやく安堵の息をついた。