久我時也の言葉に、結城暁は突然立ち尽くした。
タバコを挟んでいた手が宙に止まった。
その瞬間、まるで目が覚めたような感覚に襲われた。以前は、このような方向から考えたことはなかったが、久我時也に指摘されて、重要な問題を見落としていたことに気づいた。
南雲泉と仲直りしてから、彼の心は固く決まっていた。
もう清華とは一緒になれない。
特に今は、たとえ南雲泉と別れたとしても、清華と一緒になることは選ばないだろう。
でも、なぜだろう?
久我時也の言う通りだ。以前は彼女を愛していたのに、もし本当に離婚したら、二人が復縁するのが最善の結果のはずだ。
なのに、なぜこんなにも拒絶しているのだろう?
「考えたことがなかった」結城暁は正直に答えた。
確かに理由を考えたことはなかった。
久我時也は手の煙草を消して、淡々と言った。「答えは簡単だ。もう彼女を愛していない。他の人を愛しているんだ」