南雲泉は結城暁と一緒に会社へ向かった。
結婚して二年になるが、これが初めての会社訪問だった。
目の前には最も繁華な場所に建つ、雲を突くような高層ビル。車を降りると、南雲泉は自ら言った。「あなたは用事を済ませてきて。私は下で待っています」
「私のオフィスで待っていて」
「いいえ」南雲泉は首を振った。「この二年間一度も行ったことがないし、それにあなたの結婚のことはずっと公表されていないでしょう。今突然一緒に行けば、きっと多くの人が質問するわ」
「邪魔はしないわ。隣にショッピングモールがあるから、そこで時間を潰すわ」
結城暁は眉をひそめ、強引に言った。「自分で私のオフィスに行くか、それとも抱きかかえて連れて行くか」
南雲泉:「……」
ため息をつきながら、彼女は彼を見た。「そこまで私を困らせなければいけないの?」