第149章 南雲泉を探しに1

司瑛人は友達の写真を結城暁に見せた。南雲泉の姿を見た瞬間、彼の酔いは一気に醒めたようだった。

二人は海辺にいるようで、優しく輝くような笑顔を浮かべていた。

「写真を一枚送ってくれ」と結城暁は言った。

写真を受け取ると、両手で写真を大きく拡大し、南雲泉の目元の笑顔を丁寧に見つめた。

見れば見るほど、恋しくなった。

その時、司瑛人は携帯を取り出し、桐山念にビデオ通話をかけた。

桐山念は南雲泉と楽しく波遊びをしていて、手を繋いでいたが、ビデオ通話の音を聞いて、南雲泉の手を離した。「泉、ちょっと待っててね、ビデオ通話に出るから」

通話に出てみると、司瑛人からだった。

それだけではなく、桐山念は目ざとく、彼の隣にいる結城暁を見つけた。

すぐに、彼女の笑顔は消え、声も冷たくなった。「何?」

「不機嫌そうだね。なんでそんな顔してるの?」司瑛人は心配そうに尋ねた。

桐山念は本当に不機嫌で、心の中では極めて不愉快だと言いたかった。

「ビデオ通話する暇があるなら、あなたの親友と一緒にいればいいじゃない。それとも今、彼は上機嫌で、みんなでお祝いしてるの?」

司瑛人はそれを聞き、画面に映るバーカウンターと結城暁を見て、すぐに状況を理解し、慌てて弁解した。

「念、違うんだ。信じてくれ、僕は無実だよ」

「誰が信じるものですか。司瑛人、類は友を呼ぶっていうでしょう。結城暁は南雲泉の心を深く傷つけたのよ。今はあなたたちの顔なんて見たくもない。切るわ」

そう言って、桐山念はビデオ通話を切った。

司瑛人は切られた携帯を見つめ、茫然自失の表情を浮かべた。

そして結城暁の方を向き、泣き顔で言った。「彼女が言うには、類は友を呼ぶから、私たちの顔なんて見たくないって。君のせいで酷い目に遭ったよ!」

結城暁は鋭い目つきを向け、尋ねた。「桐山念はどこで撮影してるんだ?」

「沖縄だよ!」

答えを得た結城暁は一言も言わず、立ち上がって出て行った。

司瑛人はすぐに叫んだ。「どこに行くんだ?帰るのか?」

「ああ、沖縄に行く」と結城暁は答えた。

司瑛人は目を見開き、信じられない様子で結城暁を見つめた。「まさか、元妻に会いに行くって言うんじゃないだろうな?」

「元妻」という言葉が、結城暁には特に耳障りだった。