司瑛人は友達の写真を結城暁に見せた。南雲泉の姿を見た瞬間、彼の酔いは一気に醒めたようだった。
二人は海辺にいるようで、優しく輝くような笑顔を浮かべていた。
「写真を一枚送ってくれ」と結城暁は言った。
写真を受け取ると、両手で写真を大きく拡大し、南雲泉の目元の笑顔を丁寧に見つめた。
見れば見るほど、恋しくなった。
その時、司瑛人は携帯を取り出し、桐山念にビデオ通話をかけた。
桐山念は南雲泉と楽しく波遊びをしていて、手を繋いでいたが、ビデオ通話の音を聞いて、南雲泉の手を離した。「泉、ちょっと待っててね、ビデオ通話に出るから」
通話に出てみると、司瑛人からだった。
それだけではなく、桐山念は目ざとく、彼の隣にいる結城暁を見つけた。
すぐに、彼女の笑顔は消え、声も冷たくなった。「何?」