第166章 南雲泉、しっかりしろ

結城暁は携帯を戻し、窓の外を見て言った。「雨が少し小降りになってきたようだ。傘一本だけでも、早く走れば、そんなに濡れないだろう」

南雲泉は突然、大雨の中で念を探しに行った時のことを思い出した。全身びしょ濡れになって、寒さで震えていた。

あの感覚は、本当に耐え難いものだった。

特に強風が体に当たると、まるで刃物で切られるような痛みだった。

南雲泉が何も言わないのを見て、結城暁の心は沈んでいった。

彼は言った。「早く休んでくれ。私は行くよ」

そう言って、彼は背を向けて立ち去ろうとした。

その時、咳の音が南雲泉の耳にはっきりと届いた。

「風邪を引いているの?」彼女はついに我慢できずに尋ねた。

「少しね」結城暁は頷き、すぐに説明を加えた。「軽いものだよ。大したことない」

南雲泉は彼が以前風邪を引いた時のことを思い出した。最初は鼻水が少し出て咳が出る程度だったのに、結局収まらなくなり、最後は断続的に長い間咳が続いてやっと治った。