第176章 結城暁、私はあなたが好き

その光景を思い出すたびに、南雲泉の胸には大きな傷口が開いたような感覚に襲われた。

傷口から血が噴き出し、息も詰まるほどの痛みに苦しみ、大きく深呼吸を繰り返すことでしか、わずかにその痛みを和らげることができなかった。

それでもなお、激しい痛みは続いていた。

実は、彼女はずっと聞きたかった、聞きたいことがあった。

ただ、勇気も資格もなかった。

質問した後、南雲泉の心は宙ぶらりんのままだった。

勇家夜雪の大きな影が一瞬固まった。彼女が「旦那様」と呼んだことに、その思いは明らかすぎるほどだった。

彼女たちのことが好きなの?

誰のことが?

勇家夜雪は混乱し、答えることなく、ただ沈黙を保っていた。

長い時間が過ぎても、南雲泉は答えを得られなかった。

彼女は眉を伏せ、勇家夜雪の手を離し、目を閉じてソファに寄りかかりながら、自嘲的に笑った。「否定しないってことは、やっぱり好きなんですね。」