その言葉を聞いて、結城暁はその場で凍りついたように立ち尽くした。まるで石像のようだった。
今、何を聞いたのだろう?
彼女が自分のことを好きだと?
つまり、彼女が好きな人は自分だったのか?
でも、そんなことがあり得るのだろうか?
自分の耳で聞かなければ、とても信じられなかっただろう。
「泉……」結城暁は顔を下げ、優しく、興奮した様子で彼女の名前を呼んだ。
その瞬間、心臓が体から飛び出しそうなほど、言葉では表現できないほど興奮していた。
「聞き間違いじゃない?本当に僕のことが好きなの?」彼は優しく南雲泉の頬を伝う涙を拭いながら、忍耐強く尋ねた。
南雲泉は顔を上げ、涙で潤んだ瞳で彼を見つめた。まだ言葉を発する前に、涙が真珠のように次々と零れ落ちた。
「泣かないで」
「泉、泣かないで」