第178章 泉よ、私もあなたが好きだ2

「結城暁、聞きたくないわ。言わないで」南雲泉は抵抗するように首を振った。

結城暁は彼女の顔を両手で包み、頭を下げて彼女の鼻先に触れ、そっと笑った。

お馬鹿な子だな、きっと誤解しているんだろうと彼は分かっていた。

「泉……」結城暁は彼女を見つめた。その瞬間、彼の瞳は星のように輝き、無数の星が煌めいているかのように明るく輝いていた。

彼は口を開き、薄い唇から世界で最も優しい言葉が紡ぎ出された：「よく聞いて。僕は君の好意を一度も煩わしく思ったことはない。むしろ、とても嬉しかった。本当に嬉しかったんだ」

「どうして？」南雲泉は呆然と尋ねた。

彼女は今、頭の処理能力が全く足りず、まともに考えることができないと感じていた。

「バカだな、僕も君のことが好きだからさ！」

その言葉が頭の中で炸裂した時、南雲泉の最初の反応は、これは夢に違いないということだった。

そうでなければ、どうしてこんな言葉が聞けるはずがない！

彼女のことが好き？

結城暁が本当に彼女のことを好きだと？

十年間、これは夢にも思えなかったことだった。

彼と結婚した時、彼女は二人が手を取り合って人生を共に歩んでいけることだけを願っていた。ただ彼の傍にいられるだけで、それは大きな喜びであり、満足だと感じていた。

その後、彼の藤宮清華に対する寵愛と庇護を目の当たりにして、彼女はもはやそれ以上の望みを持つことすら恐れていた。

しかし今、彼は自ら彼女のことが好きだと言った。

南雲泉はその場で呆然となり、全く考えることができなくなった。

しばらくして、やっと自分の声を取り戻した：「でも、あなたが好きなのは……」

彼女の言葉は結城暁に遮られた：「泉、それは過去のことだ。分かっている、以前の僕は君に対して良くなかった。いつも君を悲しませ、辛い思いをさせた。でも今は違う。はっきりと分かっている、僕は君が好きだ」

「ごめん、あんなに多くの間違いを犯して、君を傷つけてしまって」

そう言いながら、結城暁は彼女の手を取り、何度も口付けした。