南雲泉の小さな顔が一瞬で赤くなった。
浴室は湯気が立ち込めており、空気の温度も高く、さらに体内にはアルコールの影響もあった。
結城暁にそのように誘われ、南雲泉の顔は水が滴るほど真っ赤になった。
彼女は認めた。彼のことが好きだと。
彼と幸せで、甘く、楽しいことをしたいとも思っていた。
でも、まだそんなに急ぎたくなかった。
お互いの気持ちを打ち明けたばかりで、告白もしたばかり。二人とも結婚経験があり、親密な関係も経験していたけれど。
でも、結婚していた時と今とは違う。
あの時の同衾は義務を果たすような感覚があったから、期待を持つことができなかった。
でも今は、これが愛情だけに関係することを望んでいた。希望を持ち、期待も抱いていた。
すべてが素晴らしく、自然な流れであってほしかった。慌ただしく、急いだものではなく。
南雲泉が返事をせず、唇を噛みながら赤い顔をしているのを見て、結城暁はすぐに理解した。「バカだな、嫌なら嫌でいい。遠慮する必要はない。はっきり言ってくれていい。」
「じゃあ...怒らない?」南雲泉は恐る恐る尋ねた。
結城暁の喉から色っぽい笑い声が漏れ、優しく言った。「バカだな、なんで怒るんだよ?」
「だって...」南雲泉は唇を噛み、桜色の頬は咲き誇る薔薇のよう。
後の言葉は、恥ずかしくて言い出しにくかった。「男性が求めているときに我慢するのは、とても辛いことだって、みんな言うから。」
「確かに辛いよ。」結城暁は言った。
「え?」南雲泉は顔を上げ、小さな顔に心配の色が広がった。
「でも、君を無理させたくない。バカだな、欲しいのは認めるよ。でも欲しいのは衝動からじゃない。こうして抱きしめていると、抑えきれなくなるんだ。」
「一回や二回だけじゃない。君のそばにいたい、大切にしたい。君が心から望む日まで待ちたいんだ。」
言い終わると、結城暁は南雲泉の額に深い口づけをした。
そして身を翻し、立ち去ろうとした。
彼が背を向けるのを見て、なぜか、その瞬間、南雲泉の心が急に慌てた。
ほとんど考えることなく、彼女は結城暁の腰に抱きつき、焦るように叫んだ。「どこに行くの?」