第180章 超幸せ、超甘い2

「暁……」

南雲泉はもう一度呼びかけた。

しかし、リビング全体は相変わらず空っぽで、誰もいなかった。

南雲泉は信じられず、トイレに行き、バルコニーに行き、キッチンにも行ったが、結果は全て同じだった。

どこもかしこも空っぽで、彼の影すら見えなかった。

全ては本当に夢だったのだろうか?

今、目が覚めたのだから、現実を受け入れなければならない。

南雲泉の心は一瞬で沈み、気分も悪くなった。

やはり彼女は取り憑かれていたのだ。夢をこんなにも鮮明に思い描いてしまうなんて。

手を伸ばし、自分の唇に触れた。

昨夜、彼らは何度もキスをした。特に最後の二回は、彼はとても熱く、切なく、狂おしいほどにキスをしてきた。

彼女はまだその柔らかく密やかな感触を覚えていた。彼の熱い息遣い、セクシーな声、情熱的な時の低い声も覚えていた。しかし、その記憶がどんなに鮮明でも、全ては偽りだった。

「南雲泉、もう手遅れよ」

彼女は頭を叩き、心の中で後悔した。

でも、なぜあのキスが夢とは思えないのだろう。その感覚があまりにも鮮明で、リアルだった。

突然何かを思い出し、南雲泉は急いでバスルームに走った。

昨日、彼女が入浴を終えた後、彼がシャワーを浴びたはずだ。

ここで彼がシャワーを浴びたのなら、服が残っているはずだ。

しかし、バスルーム中を探し回っても、彼の服は見つからなかった。

服がない。

つまり、彼は全く来ていなかったし、ここでシャワーも浴びていなかった。

やはり彼女は取り憑かれていた。夢をこんなにもリアルに見てしまうなんて。

南雲泉が全ての希望を失い、全てが夢だったと確信した時、突然、ドアの音がした。

次の瞬間、結城暁がカジュアルな服装で長い脚を運びながら入ってきた。

南雲泉は彼を見て、突然何も考えられなくなった。足を踏み出し、急いで走り寄り、結城暁を強く抱きしめた。

走りすぎたせいで、彼女が飛び込んだ時、結城暁はほとんど倒れそうになった。

彼を抱きしめ、彼の胸に寄り添い、彼の呼吸を聞き、彼の馴染みのある香りを嗅ぐまで、南雲泉は目の前の全てが現実だと信じられた。

夢ではなかった。

本当に夢ではなかった。

そう思うと、南雲泉の心は喜びで満ちあふれ、まるで次々と華やかな花火が咲き誇るようだった。

この瞬間、彼女の世界は最高に美しかった。