「あなたにあげたものだから、それはあなたのものよ」
結城暁は譲らず、強引にジュエリーボックスを南雲泉に押し付けた。
南雲泉は受け取らず、同じように主張した。「私のものではないものは、受け取りません」
それに、二人はもう離婚したのだから、これを受け取るなんてどういうことだろう?
「もしこのことのために来たのなら、帰ってください!」
「俺を追い出すのか?」結城暁は拳を握りしめ、信じられない様子で彼女を見つめた。
その黒い瞳は今にも火を噴きそうだった。
軽く笑い、突然、彼は声を出して笑い、整った顔で彼女を見つめた。「南雲泉、俺は本当にマゾだな」
「お前の言う通りだ。お前のものじゃないものを、確かに無理強いするべきじゃなかった。俺、結城暁からの贈り物を欲しがる女は山ほどいるし、結城家に入りたがる女も大勢いる。なぜお前にこだわる必要がある?」