南雲泉が話し終えると、浴室は一瞬静かになり、水の流れる音まではっきりと聞こえた。
しかし、一秒、二秒、十秒……
彼女は待ち続けた。数分経っても、何の返事も聞こえなかった。
目を開けると、彼が浴室にいないことに気づき、すでに出て行ってしまったことを知った南雲泉は、苦々しく微笑んだ。
やっぱり笑い話だったわね!
話してみても、相手は聞く気すらないなんて!
南雲泉よ南雲泉、あなたは本当に失敗作ね。
結城暁が再び浴室に入ると、彼女は浴槽の縁に寄りかかり、両腕を垂らし、艶やかな笑みを浮かべていた。
彼が入ってくるのを見て、南雲泉は物憂げに瞳を動かし、その瞳には魅惑的な色が宿っていた。「私の笑い話に興味がないみたいね。まあいいわ、もう二度と話さないから」
結城暁は彼女のパジャマを置くと、「先にシャワーを浴びて。外で待っているから」と言った。