南雲泉が車に乗り込んだとき、結城暁はパソコンを見ていた。
彼は後部座席に座り、長い脚を組んでいた。白いシャツの襟元のボタンを2つ外し、セクシーな鎖骨が覗いていた。
南雲泉の角度から見ると、本当に美しかった。
真面目に仕事をする男性が一番かっこいいと言われるのも納得だ。
今の結城暁は本当にかっこよすぎる。
とてもとてもかっこいい。
南雲泉は見とれながら、突然ときめきを感じ、思わずキスしたくなった。
そう思うと、そのまま行動に移した。静かに動き、子猫のように近づいていった。
片手で顎を支え、頭を傾けると、結城暁の横顔のラインがよく見えた。はっきりとした輪郭で、力強く、まさに神様が作り出した芸術品だった。
こんな素晴らしい芸術品に、キスしないなんてもったいない。
しばらく見つめた後、南雲泉の視線は彼の薄い唇に落ちた。
ちょうどそのとき、結城暁が振り向き、薄い唇を開いて言った。「乗ってきたのに、随分と静かだね。声もかけないで。」
「うん、大事なことを考えてたの。」と南雲泉は答えた。
結城暁は笑い、喉から色っぽい低い笑い声が漏れた。「何を考えてたの?随分と神秘的だね。」
「うん、それは…」
南雲泉は言葉を途中で止め、今がチャンスだと思った。目を閉じ、勇気を振り絞って、軽く身を乗り出し、ピンク色の唇を結城暁に向けて近づけた。
しかし、予想していた柔らかな感触は得られなかった。
代わりに、頭を軽く押さえられた。
「これが考えていた大事なこと?」結城暁は優しく笑った。
南雲泉は即座に頬を赤らめ、恥ずかしそうに後ずさりしながら否定した。「違うよ、誤解だよ。」
「お馬鹿さん、あなたの行動が全てを物語ってるよ。」結城暁は笑った。
「そんなことないよ?私が何をしようとしてたか、分かるの?」南雲泉はわざと強情を張った。
車の位置を確認してから、結城暁はパソコンを置き、手を伸ばして南雲泉を一気に自分の腕の中に引き寄せた。
彼は南雲泉の額に自分の額をつけ、そっと息を吐きながら言った。「お馬鹿さん、君が入ってきた時から、僕の容姿に惹かれているのは分かってたよ。」
南雲泉は即座に心臓が飛び跳ねる思いがし、慌てて説明した。「ち…違うよ、そんなことないよ。それに、こんな自惚れ屋さんいないでしょ?」