彼のキス、とても熱く情熱的だった。
南雲泉は自分が彼に飲み込まれそうな感覚に陥った。
普段なら、きっと恥ずかしくて気まずい思いをしただろう。
でも今は、そんなことを気にする余裕はなかった。何も考えられなかった。
ただ、彼と離れたくない、今この瞬間も自分をしっかりと抱きしめてくれているこの男性と離れたくないという思いだけだった。
どうしよう?まだ離れてもいないのに、もう恋しくなっている。
もはや遠慮なんてなく、南雲泉は手を伸ばし、結城暁をきつく抱きしめた。まるで彼の骨の髄まで溶け込みたいかのように。
そうすれば、失うことへの恐れも、恋しさも少しは和らぐかもしれないと思って。
なぜだか最近、自分が物思いにふけりやすくなったように感じていた。
そして、手を離せば彼が去ってしまうような気がしてならなかった。