第188章 離して、痛いわ

火鍋を食べ終わると、桐山念は南雲泉と一緒に買い物に行った。

買い物で楽しみを見つけて、一時的に悩みを忘れてほしかったからだ。

全過程とても楽しかった。

桐山念は南雲泉のために可愛いドレスを何着か選び、南雲泉が新しい服に着替えると、傍らで写真を撮った。

そして結城暁に送信した。

「全部彼に送ったの?」南雲泉はドレスを試着しながら尋ねた。

桐山念は頷いた。「もちろん。出張中でもあなたのことを想って、見るたびにムズムズして、すぐにでも飛んで帰りたくなるようにしたいの。」

「じゃあ、私をもっと綺麗に加工してね。」

「必要ないわ。私たちの泉はこんなに可愛いんだから、生まれつきの美人よ。どう撮っても綺麗だし、それに私の撮影技術を信じてないの?」

南雲泉は即座に何度も頷いた。「信じてる信じてる、絶対に信じてます。」

数十分後、南雲泉は既に何着も服を買っていたが、桐山念は一着も買っていなかった。

南雲泉はすぐに不思議そうに言った。「念、普段は服が大好きだったじゃない?今日はどうしたの?私のばかり買って、早く自分の分も選んでよ。」

「私は…」桐山念は一瞬躊躇してから言った。「買いたくないの。」

「買おうよ買おうよ、暁が払ってくれるって言ってたじゃない?好きなのを選んでよ。」

先日のことを思い出し、桐山念は目を伏せ、興味なさそうに言った。「買わない。どうせ見てくれる人もいないし。」

この言葉を聞いて、南雲泉はすぐに何かを察し、そっと近寄って尋ねた。「喧嘩したの?」

「うん。」桐山念は頷いた。

「話してくれる?」

「大したことじゃないの。カップル間のちょっとした摩擦だけど、腹立つのは、彼が全然なだめてくれないこと。私が怒るままにして、私から機嫌が直ったら仲直りに来いって考えてるの。ふん…私なんか行かないわ。」

「今回は彼が来ないなら、私も絶対に行かない。」桐山念は怒って言った。

否定できないが、桐山念は本当に美しく、怒っているときでさえ極めて魅力的だった。

南雲泉はすぐに慰めた。「私たちの念は怒ってもこんなに綺麗なんだから、新進女優さんにふさわしいわ。」

「やっぱりあなたは甘い言葉が上手ね。司瑛人があなたの半分でも甘い言葉が言えたらいいのに。」