結城暁は頭を上げ、突然胸が苦しくなった。
まるで胸に塊が詰まっているかのように、息苦しく痛かった。
以前は、多くの人が恋愛で寝食を忘れるのを見たり聞いたりしたが、その時は大げさだと思い、そこまでする必要はないと考えていた。
今、自分の身に全てが起こってみると、この感覚がどれほど苦しく、辛いものかを初めて理解した。
目を閉じると、結城暁の脳裏には南雲泉の姿ばかりが浮かんだ。
彼女の笑顔、可愛らしい表情、怒った時の険しい顔、酔った時の愛らしい姿。
とにかく、全ての場面に彼女がいた。
「泉、どうしてそんなに無関心でいられるの?」
考えれば考えるほど、結城暁は胸が締め付けられる思いだった。
彼の脳裏に、二人が心を打ち明けた時の光景が不意によみがえった。
あの時、泉は彼のことが好きだと言っただけだった。