第21章 あなたに頼む、彼と離婚を迫って

高橋真子は楽屋で同僚と原稿に目を通していた時、突然誰かが入ってきて彼女の耳元で小声で話しかけた。

新しいトレンド：「犯罪者の娘の成功への道」

添付された画像は、彼女が送迎車から降りる場面で、下には文章が添えられていた。

「罪を恐れて自殺した犯罪者の娘は、留学できただけでなく、帰国してアナウンサーにもなれた。その裏にある真相は驚くべきもので、大変失望させられる。」

高橋真子は「犯罪者」という言葉に心が震えたが、いつものように冷静な表情を保ち、来た人を振り向いて「削除できますか？」と尋ねた。

「それじゃ、かえって疑われるんじゃないですか？」

知らせを持ってきたスタッフが言った。

高橋真子は少し考えてから、携帯を置いて「じゃあ、放っておきましょう！」

12時になり、彼女は予定通り同僚とスタジオに入った。

父親が亡くなってからまもなく、彼女と母親は気づいていた。彼女たちは「犯罪者の娘」「犯罪者の元妻」というレッテルから逃れられないことを。

そのことを明確に認識してからは、このようなニュースを見ても、パニックよりも好奇心の方が強くなった。

誰が最初に彼女を狙い始めたのか？

高橋真子が最も気になったのはこの点だった。

その一方で、藤原の方々は自宅で高橋真子のニュースを見ていた。彼女がニュースを始めてから、藤原家の昼食は12時から12時半に変更された。

運転手は高橋真子があの送迎車に乗り込むのを目撃したと言ったが、おばあさまは朝から外出していない人に「どう思う？」と尋ねた。

藤原月はスマートフォンでメールを確認しながら、ソファにだらしなく寄りかかって「彼女のことは私には関係ない」と答えた。

「そう言うなら、私が彼女に見合い相手を紹介しても文句は言えないわね」

おばあさまがまた言った。

「……」

藤原月は突然何も目に入らなくなった。

大和田好美は隣に座って息子の困った様子を見ながらため息をつき「私とおばあさまで考えたんだけど、近所の同年代の子と付き合わせてみようと思うの。どうせあなたたちはもうすぐ離婚するんだし、真子が名分もなく家にいるのも、一人で外で寂しく暮らすのも忍びないわ」

「そうよ、ただ人の車に乗っただけでこんな風に書かれるなんて。あなたが構わないなら、私とお母さんが放っておくわけにはいかないわ」

おばあさまも言った。