「私はこれから大事な予定があるの」
藤原月は二人の老人を困らせないように、彼女の手を取って外へ連れ出した。
階段の前で二人が向かい合って立っていると、高橋真子は不満げに言った。「でも、私たち、もうすぐ離婚するじゃない!」
「あなたを可愛がってくれたおばあさんを本当に死なせたいの?」
藤原月は美しい手を腰に当てながら問いただした。
高橋真子の心臓が震えた。そんなつもりは全くない。
ただ離婚したいだけなのに!
「おばあさんは私たちの離婚のことで気を失ったんだ。少し休ませてあげられないの?」
藤原月はさらに言った。
「でも、おばあさん、気を失った様子じゃなかったわ」
高橋真子はそう言いながら自信なさげで、声も小さかった。
「おばあさんが嘘をついていると思うの?高橋真子、うちの家族があなたをこんなに大切にしているのに、あなたは家族を疑うのか」