第42章 本気の愛?自分でも信じてないでしょう

高橋真子は彼が何をしようとしているのか分からなかったが、ただ押されるままに階段を降り、一台のランドローバーの前まで来た。

「お前の主人をちゃんと病院まで送れ。他の件は後日改めて清算する」

藤原月はそう言って詩織を車に乗せ、ドアを閉めると大股で高橋真子の方へ向かった。

高橋真子はそこで初めて、藤原月が詩織の部下がここにいることを知っていたことを知った。

高橋真子は実は最初は気にしていなかった。

詩織は彼女に藤原月と離婚してほしいだけで、離婚さえすれば詩織は彼女につきまとうことも、彼女を探すこともなくなるはずだった。

しかし藤原月が彼女の前に来て、また彼女の手を掴んだ。「行くぞ!」

「手を掴まないで、自分で歩けます!」

高橋真子は前に進まず、ただ彼に注意を促した。

藤原月は彼女を見つめ、すぐに彼女を抱きしめた。「まだ離婚していない」