第41章 藤原月、早く署名して

高橋真子は依然として冷たい階段に座っていた。彼がこんなに早く来るとは思わなかったし、まして詩織を連れてくるとは更に予想外だった。

でも、これが一番いいことだ！

高橋真子はゆっくりと立ち上がった。「来たのね！」

「長く待ったの？私、体調が悪くて、月が少し付き添ってくれたの。」

詩織は藤原月の腕にしがみつきながら、高橋真子に優しく言った。

「ううん、私も今来たところよ。」

高橋真子は心の中で、これは単なる社交辞令に過ぎないことを十分理解していた。

小林詩織の部下が常に彼女を監視していたのだから、どのくらい待っていたかを知らないはずがない。

藤原月に関しては、一時間前まで彼女と一緒にいたのだから、小林詩織とどれだけ長く過ごせたというのだろう？

藤原月は暗い瞳で彼女を見つめた。「書類は全部揃ってる？」

「うん！行きましょう！」

高橋真子は言った。

しかし、離婚はそう簡単ではなかった。二人が調停室に入ると、40代の職員がお茶を持って入ってきて、一口飲んでから手元の書類を見ながら尋ねた。「こんなにお似合いのお二人がなぜ離婚を？」

高橋真子はその年配者を見上げ、相手の役目が調停であることを理解しつつも、考えた末にこう言った。「すみません、私たちは協議離婚なので、調停は必要ないはずですよね？」

藤原月と調停員は、この言葉を聞いて彼女を見た。

調停員は笑いながら言った。「よく知っていらっしゃいますね。でも私の役目は、できるだけ多くの夫婦の離婚を防ぐことです。もしかしたら、お二人はお互いを愛していることに気付いていないだけかもしれません？」

「私は少し調べてみました。あまり多くを聞く必要はありません。ただ離婚手続きを進めていただければと思います。」

高橋真子は続けて言った。

調停員は思わず藤原月を見た。

藤原月は黒い瞳で彼女を見つめた。「なぜそんなことを調べたんだ？」

高橋真子は彼を一瞥して答えた。「ちょっと見てみただけよ！」

「……」

藤原月は黒い瞳を細めた。ちょっと見ただけ？

調停員が何か言おうとしたとき、高橋真子は笑って言った。「先生、外を見てください。あそこに病院の服を着た人がいます。彼女は重病なんです。これ以上待たせるのは忍びないでしょう？」

調停員は「……」