藤原月は四文字で彼女に分からせた。彼女を自分の思いのままにできる獲物だと。
「だから、あなたがここまでしたのは、結局そのためなの?」
高橋真子は怒りを込めて問いただした。
「そう言うなら、否定はしないさ。確かにそう思っていた」
「あなた...」
「他に質問があるなら今のうちにしておけ。後で私の気分を台無しにするな」
藤原月はそう言いながら、布団に包まれた彼女を抱き上げた。
高橋真子は反射的に片手で彼の首に腕を回したが、落ちそうな危機感から咄嗟にそうしたことに気付き、すぐに手を引っ込めて布団をしっかりと掴んだ。
藤原月は彼女をちらりと見ただけで、長い足で階段を上がっていった。
「どの部屋だ?」
二階に着いて、藤原月が尋ねた。
高橋真子は頑なに黙り込み、彼と目を合わせないように顔を背けた。