第160章 愛憎、私はあなたが私を追い詰めることが嫌い

藤原月は四文字で彼女に分からせた。彼女を自分の思いのままにできる獲物だと。

「だから、あなたがここまでしたのは、結局そのためなの?」

高橋真子は怒りを込めて問いただした。

「そう言うなら、否定はしないさ。確かにそう思っていた」

「あなた...」

「他に質問があるなら今のうちにしておけ。後で私の気分を台無しにするな」

藤原月はそう言いながら、布団に包まれた彼女を抱き上げた。

高橋真子は反射的に片手で彼の首に腕を回したが、落ちそうな危機感から咄嗟にそうしたことに気付き、すぐに手を引っ込めて布団をしっかりと掴んだ。

藤原月は彼女をちらりと見ただけで、長い足で階段を上がっていった。

「どの部屋だ?」

二階に着いて、藤原月が尋ねた。

高橋真子は頑なに黙り込み、彼と目を合わせないように顔を背けた。