「お金」
藤原月はその一言を言った。
高橋真子は悟り、気まずくも礼儀正しく微笑んだ。
何故かは分からないが、とにかく料理は美味しく、たくさん食べた。
食事が終わると、スタッフが二人のグラスにワインを注ぎ、その場を去った。
広大な空間に、二人だけが残された。
高橋真子は先ほどまで彼らの世話をしていたスタッフが一人また一人と去っていくのを見て、心がますます落ち着かなくなり、全員が去った後、反射的に窓の外を見た。
「ドン!」という音。
高橋真子は呆然とした目を上げ、遠くの夜空を見つめた。
ピンク色の花火が開いた。
それに続いて、様々な色と形の花火が、目の前で次々と咲き誇った。
高橋真子は突然、夢を見ているような気がした。
藤原月は彼女を見つめ、彼女の瞳に映る鮮やかな花火を見た。