第172章 私と一緒にいて

「真子!」

「藤原月、私が…」

「ただ抱きしめてほしいだけなのに、なぜそんなに難しいの?」

藤原月は言いながら、彼女を抱きしめてベッドに押し倒した。

高橋真子は枕の上に横たわり、目の前の黒い瞳をした男性を見つめながら、思わず心臓の鼓動が速くなった。

藤原月は彼女にキスをしようと顔を近づけたが、彼女が好まないように感じ、首筋へと移動した。

二人は同じボディーソープを使っており、その香りが特に刺激的だった。

しばらくすると、彼は彼女の首筋で息を切らしながら、苦しそうに呟いた。「お前にいつか殺されそうだ。」

高橋真子の心臓が一瞬止まりそうになった。

なぜ彼が彼女に殺されるというの?

もしかしたら、先に死ぬのは彼女かもしれない。

彼はあんなに健康そうなのに、そう簡単には死なないはずだ。

高橋真子は動くことができず、シーツを強く握りしめた。

「一晩眠れなかった。一緒に寝てくれないか?」

藤原月は彼女が自分を慰めてくれないことを知っていたので、また小声で尋ねた。

高橋真子は大きな瞳で空を見つめ、しばらくしてから「うん」と答えた。

藤原月は彼女の体から離れ、隣に横たわって腕を伸ばした。

高橋真子は彼を一瞥してから、すぐに素直に頭を上げた。

彼は腕を彼女の首の下に置いた。

高橋真子は本当に体重をかけることを躊躇していたが、彼が「全体重をかけていいよ」と言うまでだった。

「重いですよ」

高橋真子は彼に警告した。

「お前が?どれだけの重さだというの?」

藤原月は軽蔑するような目つきで彼女を見た。

高橋真子は心の中で「まあいいか」と思った。

そして覚悟を決めて彼の腕に体重をかけた。

彼女の心の中では、彼が寝たら起き上がろうと考えていた。

しかし予想外なことに、彼女も眠りに落ちてしまった。

これまで自分がこんなに眠れるとは気づかなかった。

——

目が覚めたのは、耳がくすぐったかったから。

しかし目を開けるのが極めて困難で、陽光が散らばってベッドに落ち、彼女の優しい目尻に当たっていた。

彼女は反射的に顔を少し横に向け、眉を少しひそめ、そして自分の髪で遊んでいた人が誰なのかを確認した。

藤原月!

その瞬間、まるで15歳の春に戻ったかのようだった。