第157章 ベイビー、夫婦の契りを交わした以上、離婚はできない

高橋真子は「おばあちゃん」と聞いて、反射的に近づいていった。

おばあちゃんの声が耳に入ってきて、座るときに急いで顔を拭った。

藤原月は彼女の後ろに手を置いていたが、体は彼女から遠く離れていた。しかし、ビデオ通話では二人の顔がはっきりと見えていた。

おばあさんは彼の顔色が悪く、高橋真子の目が赤くなっているのを見て、思わず尋ねた。「あなた、この子が帰ってきてすぐにいじめたの?」

「違うの、おばあちゃん。さっきドアを開けたとき、目に砂が入っちゃって。おばあちゃん、明けましておめでとう!」

「あなたもおめでとう。あなたがここにいたら、もっと楽しかったのに!今年は帰って来なかったから、あの子も家にいられなくて、どうしてもあなたに会いに行きたがって。でも、彼があなたのそばにいてくれれば、私たちも安心よ。お正月なんだから、若い二人は喧嘩しないで。何かあっても数日後に話し合えばいいでしょう?」

おばあちゃんは穏やかに話し、高橋真子は笑顔で頷いた。

藤原月は画面で初めて彼女の笑顔を見て、思わず冷ややかに鼻を鳴らした。

「この生意気な子、わざわざ飛んで行ったんだから、早く私の孫嫁を喜ばせなさい。もし孫嫁をいじめに行ったんなら、さっさと帰ってきなさい」

とおばあさんは言った。

おじいさんも画面に顔を出して言った。「月、お正月なんだから、真子ちゃんと喧嘩しちゃダメだよ」

「もし喧嘩したら、真子ちゃんに新しい相手を紹介してあげるわ」

大和田好美は顔を見せなかったが、声ははっきりと聞こえた。

しばらく話をして、藤原月が彼女をいじめないと約束した後、おばあさんはビデオ通話を切った。

高橋真子もようやくほっとして、顔の笑みを一時的に収めるのを忘れていた。

藤原月は彼女を横目で見て、彼女があんなにも馬鹿みたいに笑っているのを見て、すぐに眉をひそめた。

彼と一緒にいる時は、まるで彼が何か嫌なものであるかのように元気がなく、ましてや笑顔なんて見せない。

他人に会うとこうも違って、馬鹿みたいに笑う。

高橋真子は遅れて笑顔を引っ込め、また落ち着かない様子で他の方向を見た。

彼はそこで彼女の首に巻かれた分厚いマフラーに気づき、思わず眉をひそめた。

部屋の温度は適度なのに、なぜこんな分厚いマフラーを巻いているのか?