「もう洗ったんじゃないの?」
「もう一度洗う必要があるの」
藤原月は彼女の前に歩み寄り、彼女を壁際に追い詰めた。
「冷たい!」
高橋真子は背中のタイルの冷たさに思わず目を閉じた。
藤原月は温かい手のひらを彼女の背中に添え、水で濡れた唇を見つめながら、できるだけ彼女の肌がタイルに触れないようにし、薄い唇を容赦なく重ねた。
部屋にそぐわない音楽が鳴り響き、高橋真子は胸が震え、すぐに彼の肩をつかんで注意を促した。「携帯が鳴ってるわ」
藤原月は気にせず、再び彼女にキスをし、素早く唇から横へと移動した。
高橋真子は苦しそうに彼の肩に寄りかかり、かすれた声で言った。「急用かもしれないから、電話に出てきて」
彼女はただシャワーを浴びていただけで、頭の泡も流れきっているかどうかわからなかった。