「小林さんに、うちの奥様はお会いになりたくないとお伝えください」
「……」
高橋真子は藤原月が冷たい表情で長い足を踏み出して中へ入っていくのを見て、呆然としていた。
——
お婆様の誕生日は簡素ながら、特別に温かい雰囲気だった。
食事の前に、大和田好美と高橋真子は一緒にお婆様を部屋に案内し、素敵なチャイナドレスに着替え、真珠のネックレスを付けて、まるで女帝のように二人に支えられて出てきた。
祖父母と孫が三人でソファに座って見ていると、お爺様は自分の妻を見て感動的な笑みを浮かべたが、すぐに嘆いた:「今夜は安らかに眠れそうにないな」
「お父さん、それはどういう意味ですか?」
藤原直人は不思議そうに尋ねた。
「こんなに綺麗なネックレスを付けたら、一晩中それについて話し続けるに決まってるだろう?」