第6章

「奥さん、何か誤解してるんじゃない？」

私がソファの隙間にある鞭を見つめると、山本健一は慌てて拾い上げて隠した。「社長が置いていったんです。会議の時に遊ぶおもちゃなんです」

「何であれ、どうでもいいわ。明日の9時に、民政局へ行きましょう。円満に別れましょう」

そう、円満に別れましょう。お互い恥をかかずに済むように。

山本健一が何か言おうとしたが、私は書斎のドアを閉めた。書斎は山本健一が汚していない唯一の場所だった。

翌日、山本健一は悪いことをした子供のように、まだ私に説明しようとしたが、私は黙ったまま、ただ戸籍謄本と身分証明書を持ってくるように言った。

彼は仕事を言い訳にして逃げようとしたが、私は断固として彼を見つめた。「山本健一、時間を無駄にしないで。あなたが何をしたか分かってるでしょう。どうして？」