第6章

この数年間、美咲の世話のために、私は人付き合いもキャリアも諦めてきました。

みんな忘れてしまったようですが、私なしでは藤原勇人は何者でもありませんでした。

でも彼は一度も感謝の気持ちを示しませんでした。

美咲を妊娠してから、まるで夫を失ったかのようでした。

妊婦健診も一人で行き、美咲の世話も一人でしてきました。

彼を見捨てなかったのは、ただ美咲を父親のいない子にしたくなかっただけです。

美咲が病気になってからは、彼の柳田千春に対する態度はさらに無遠慮になりました。

彼女がダンスをしたいと言えば、会社の資源を使って道を開いてやり。

彼女が怪我をすれば、家を売って治療費を工面しました。

最後には、私の会社を潰し、母が残してくれた家も売り払い、挙げ句の果てには美咲まで死なせてしまいました。