こんなに長い間一緒にいて、藤原飛雄は私の前では、いつも優しくて素直で、思いやりのある姿だった。
とがった部分もなく、気性も荒くなかった。
でも今は、ベッドサイドにミルクを置いて、目に危険な光を宿し、私をベッドの背もたれに追い詰めるまで覆いかぶさってきた。
「お姉さん、家のことは本当に手伝わなくていいの?」
私は平静を装って、彼の首に手を回した。
あの鬼将軍のせいで、可愛い弟を失うのが怖かった。
「もし必要なら、真っ先にあなたに助けを求めるわ。いい?その時は、お姉さんを助けてくれるよね?」
彼は黙って私を見つめ、しばらく何も言わなかった。
やがて急に声を潜めて、「僕だけを好きなの?お姉さん」
私が「はい」と言おうとしたけど、声を出す前に唇を塞がれた。まるで罰を与えるかのように、荒々しく、容赦なく。
「んん……」
窒息しそうで、思わず眉をひそめて声を漏らすと、彼はやっと息を切らして止めた。
私の鼻先に軽くキスをして、私の震えを感じたのか、彼は怠そうに笑って、耳元で柔らかく潤んだ声で。
「さっきの言葉、忘れないでね、お姉さん」
「さもないと、怒っちゃうよ」
藤原飛雄の見慣れない鋭さに、私の頭が真っ白になった。「え?」
痛い……
首筋に激しくキスされ、大きな手で手首を掴まれ、ベッドに押さえつけられた。
彼自身も息が乱れるまで。
私の肌に浮かぶかすかな赤い痕を眺めながら、彼の目は熱く燃えていた。
「朝ごはん、食べなくていい?」
食べる…私を?
子犬みたいな弟が強制愛も好きだなんて誰も言ってくれなかった。私は一瞬で大海原に落ちたような気分になった。
いいわ、いいわ、息をつける余裕さえくれればいい。
ベッドの中はすでに荒波が打ち寄せ、危険極まりない。それなのに、この豪華客船は港に入る気配がない。
藤原飛雄が耳元で吐く熱い息に、私の心は宙づりになった。
「お姉さん、僕の彼女になって?」
私は焦って熱い鍋の上の蟻のようだった。「今だってそうじゃない?」
彼は予告もなく激しく腰を突き上げ、瞳の奥で暗い波が渦巻いていた。
「結婚前提の、そういう関係」