第13章

こんな藤原飛雄に対して、正直に言うと、私は全く怒る気になれなかった。

車に乗り込んだ時はわざと無愛想な顔をしていたけど、シートベルトを締める時には彼の顔が近づいてきて、私の防御は崩れてしまった。

私の表情が和らいだのを見て、彼はようやく安心したようだった。

片手をハンドルに置き、しばらく躊躇してから言った。「姉さんに聞いたんだけど、藤原九郎が結婚を強要したんだよね？」

そう言いながら、手の筋が浮き出るほど怒っているのが見て取れた。

私は彼の腕に手を置き、親しげに握りしめた。「そう、父が藤原家の投資のために、私に相談もなく承諾してしまったの。」

「でも心配しないで。私は彼のことが好きじゃないから、明日の夜に会って、はっきり話すつもり。」

「ただ、うちの会社に手を出さないでくれればいいんだけど。」