第3章

地面に落ちて画面が割れた携帯が鳴り出した。

義母からの電話だった。義母は震える声で言った。「お父さんがもうダメみたい。誠くんは？来てるの？」

「お医者さんがお父さんはもう長くないって…雅子ちゃん！早く帰ってきて！この年寄りにはどうしていいか分からないの！」

義母は既に涙でぼろぼろになっていて、私も崩壊寸前だった。その時、藤原誠の姿はもうどこにもなかった。

なぜ私を信じてくれないの？なぜ女のために実の父親の生死も顧みないの！

こんなにも薄情で！残酷な人だったなんて！

私は全身の力を振り絞って、彼が去っていった方向に向かって叫んだ。「藤原誠！早く戻ってきて！藤原誠！」

でも全ては無駄だった。

私は急いで病院に戻った。病室で義母は私が一人で戻ってきたのを見て、力なく首を振った。

私は急いで彼女の干からびた手を握り、涙ながらに謝った。

「ごめんなさい、お母さん。誠くんを連れて帰れなくて…」

義母はベッドを叩きながら首を振り、声を上げて泣いた。「この畜生！この畜生め！なんでこんな不孝者を産んでしまったのよ！」

「あぁ…」

ベッドの上の義父が呻き声を上げ、何か言いたそうにしていた。私は急いで耳を傾けた。

「娘よ…誠は…息子に…会いたい…」

私は涙を堪えながら、嘘をつくしかなかった。「今向かってます、お父さん。頑張ってください、誠くんはすぐ来ますから。」

「はぁ…はは…あぁ…」

私の言葉を聞いて、義父も私の嘘を悟ったかのように、突然息が上がり、この世を去った。

義母はそれを見て、ベッドに伏して大泣きし、そのまま気を失って、看護師に連れて行かれた。

病室全体が深い悲しみに包まれ、私たち義理の母娘の泣き声が病院中に響き渡った。

これまでの義父の私への気遣いと思いやりを思い出すと、義父の死を受け入れられない気持ちが長く続いた。

どれくらい時間が経ったのか分からないが、看護師が来て私たちを慰め、病室を空けなければならないと言った。

もはやこうなってしまった以上、義父が最期まで息子に会いたがっていたのに叶わなかったことを思うと、より一層悲しくなった。

藤原誠に電話をかけて義父の訃報を伝えようとしたが、やはり繋がらなかった。

そこで田中美咲が投稿したSNSを見つけた。二人が海辺で撮った親密な写真で、田中美咲はセクシーな水着姿で体型を誇示し、藤原誠は短パン姿で彼女の腰をしっかりと抱いていた。

二人の甘い様子を見て、私はかえって冷静になり、諦めがついた。完全に見切りをつけた。

私は落ち着いて藤原誠にメッセージを送った。

「離婚しましょう。」