霊堂を見たその瞬間、藤原誠は自分の父親が本当に亡くなったことを信じ始めた。
私も田中美咲が手に持っている贈り物の箱を見た。透明な四角い箱の中には、金色に輝く寿桃が入っていた。
長寿と福を象徴する金色に輝く寿桃が、義父の霊堂に置かれているのは、何という皮肉だろう。
しかし藤原誠の目には悲しみも恥じらいもなく、むしろ怒りに満ちていた。私に向かって走り寄り、私の襟をつかんだ。
「お前だろう!お前が父さんを殺したんだろう、ちゃんと面倒を見なかったんだろう!」
私は必死で彼の手を払いのけた。
「ここで暴れないで!お父さんを安らかに送らせて!」
私は彼と口論したくなかった。親戚や友人たちも見ていて、みんな笑い物にしている。そうなれば義両親の面目も彼と一緒に失われてしまう。
「よく言うな!お前に父さんなんて呼ぶ資格があるのか!この毒婦!父さんはつい数日前まで元気だったのに、お前が父さんを殺したんだろう!」