第1章

友達の投稿を開くと、田中宇樹が投稿した写真と文章が目に入った。

「二十一歳の誕生日パーティー、そして彼女との初めてのバレンタインデー」というキャプション付きだった。

添付されていたのは、渡辺静香から彼への送金記録で、13140という暗示的な数字、そして2枚の写真。写真には彼の男友達しか写っていなかったが、ガラスの反射に渡辺静香の姿がはっきりと映っていた。

今日は私と渡辺静香の5回目のバレンタインデー。彼女にサプライズを贈るため、特別にマンションを購入し、この特別な日に贈るつもりだった。

しかし渡辺静香は仕事が忙しくて時間が取れないと言った。

今、この投稿と、少し前に投稿された内容を見ていると、私たちの5年間が冗談のように思えてきた。

田中宇樹は渡辺静香の親友の弟で、同じ会社で働いている。二人は普段から仲が良く、姉弟のように呼び合っていた。

私と渡辺静香が付き合ってきたこの5年間、彼女は何度も仕事を口実に私を避け、田中宇樹と二人きりで過ごしていた。私は何度か不満を伝えたが、毎回渡辺静香と田中宇樹にごまかされてきた。

他人から見れば、むしろ彼らこそが寄り添う恋人同士に見えたのかもしれない。

じゃあ私は何なんだ?私は何なんだ?

携帯を取り出し、渡辺静香に電話をかけた。

「もしもし?ねぇ、どうしたの?」

「今どこにいるんだ?」

私は心の中の怒りを抑えながら、低い声で尋ねた。

「会社よ、言ったでしょ?今日は急な残業が入って、バレンタインデーに帰れないの。あなた、家で美味しいものでも食べてて。今度時間があったら必ず埋め合わせするから。」

「会社?会社にDJの音が聞こえるのか?静香、5年付き合った彼氏をバカにしてるのか?」

向こうは一瞬黙り込み、その後、渡辺静香は普通の口調で説明し始めた。「何のDJ?聞き間違いよ。ごめんね、今日バレンタインデーに帰れなくて寂しい思いをさせちゃって...明日、明日はどう?帰ったら豪華な料理作るわ。」

「ごめん、今忙しいの。帰ったら改めて機嫌取るから。」

そう言うと、彼女は突然電話を切った。

私は田中宇樹の投稿を何度も更新して見ていた。彼らがバーからカラオケ、レストラン、五つ星ホテルへと移動する様子を見ながら、私の心は徐々に沈んでいった。

一瞬、胃の中がぐるぐると回った。一緒に寝起きしていた彼女が他の男のベッドに上がり、他の男に抱かれていたと思うと、吐き気を催すほど気持ち悪くなった。

深夜になっても、渡辺静香は帰ってこなかった。

5年間付き合った彼女が浮気をしていた。心が痛まないはずがない。

しかし、これだけのことがあっても、もう大げんかをする気も失せていた。少し考えてから、連絡先リストの中で長い間眠っていた電話番号にかけた。

「もしもし?」

私が話す前に、電話から甘い女性の声が聞こえてきた。

「あなたね。決心がついたの?前は彼女が忘れられないって言ってたじゃない。」

「気が変わっちゃいけないの?」

「今度こそよく考えてね。途中で後悔しないでよ。戻ったら、長野市には'島田陽介'という人物は存在しなくなるわ。」

「彼女はあなたのことを覚えているけど、もう彼氏じゃなくなる。あなたは山田商事の社長という立場に戻るの。本当に戻る?」

「...ああ、決めた。」

電話を切ると、怒りに満ちていた心が不思議と落ち着いていた。