幼い頃から、家族は私と村上静香が一対だと言っていた。
でも、彼女と一緒にいるたびに、何かが足りないと感じていた。藤原優花に出会うまで、それが恋人同士の情熱だということに気付かなかった。
残念ながら、気付くのが遅すぎた。
藤原優花と初めて出会ったのは、ダークバーだった。
彼女は小柄で、親友の後ろをついて歩きながら好奇心旺盛に辺りを見回していたが、少し臆病そうだった。
彼女は目が良かった。密集した人混みの中で、一目で私と目が合った。
その日の彼女の輝く瞳と、勇気を出してLINEを聞きに来た時の赤らんだ頬しか覚えていない。
当時、こんなに矛盾した人がいるのかと思った。大胆で臆病な人。
その後、彼女に再び気付いたのは、村上静香が突然いなくなった時だった。
正直に言うと、村上静香の突然の別れは、私にとって大きな打撃だった。