第3章

村上笑子は非常に不本意だった。

自分が偽りの令嬢だと知ったのは、もう七、八年前のことだった。

実の両親が訪ねてきて、自分の本当の家族がいかに卑劣で、本当の両親がいかに吐き気がするような人間だったかを知った。

村上笑子は心の底から憎んでいた。なぜ自分はあの夫婦の娘で、父の村上昇太と母の森川美咲の娘ではないのか?

だからその時から、自分の身分を完璧に偽装することを決意した。

しかし、思い通りにはいかなかった。

年を重ねるにつれ、村上笑子は家族との外見の違いが際立ってきた。

村上昇太は年を取っていたが、確かに非常にハンサムで、切れ長の目と凛々しい眉を持つ、実に格好良い男だった。

森川美咲は生まれながらに温かみがあり、繊細な白い肌と、二本の柳の葉のような眉が、アーモンド形の目をより柔らかく引き立てていた。