藤原安志から電話がかかってきた時、私はほとんど固まってしまうところだった。
この時、私の物資の備蓄はほぼ終わりに近づいており、極寒の到来まであと二日しか残されていなかった。
藤原安志は電話で優しい声で言った:「霜子さん、落ち着いた?」
「あの姉妹があなたをいじめていないか心配なんだ。」
「私が行って付き添おうか?」
携帯から聞こえる声は、毒虫のように私の心を蝕んでいた。
私は携帯を握りしめながら、顔には無意識に甘い笑みが浮かんでいた。
「いいわよ。」
「来てちょうだい、ずっと待ってたの。」
藤原安志はとっくに村上笑子と関係を持っていた。
村上笑子は私が村上家の方々に見つかるのを阻止するため、ありとあらゆる手段を講じていた。
藤原安志も目が見えていないのか、本当に村上笑子のことを好きになってしまうなんて。