藤原安志は村上笑子と一緒に帰ってきた。
村上笑子は入ってくるなり、わざとらしく言った。「霜子さん、あなたの彼氏がはるばる会いに来てるのに、迎えにも行かないなんて、どういうことなの?」
私は一瞬固まり、立ち上がって、村上笑子と一緒に入ってきた藤原安志を見つめた。
藤原安志は確かに端正な顔立ちをしていた。
でも……
私は仕方なく溜息をつきながら言った。「お姉さん、藤原安志は確かに私の彼氏だけど……ただの彼氏でしかないわ」
私は少し責めるような目で二人を見た。
「安志さん、来るならメッセージくらい送ってくれてもよかったでしょう?」
「お姉さん、ここは私たちの家よ。私たちどちらの彼氏が来るにしても、まずはお父さんお母さんに言うべきでしょう」
「それに、あなたも……」私は藤原安志の空っぽの手を見て、眉をひそめた。「安志さん、もし私に会いに来たのなら、まず私に言うべきよ」