第5章

慕容端は二度と戻ってこなかった。

よくある虐げられる小説のように、王妃が入門した日に、運命の人が病気になったり怪我をしたりして、王様が慌てて出て行き、落ち込んだ王妃を置き去りにするのだ。

ここに来てからずっと、私は思うがままに遊んでいた。それは主に侯爵邸の人々の本性が嫌いだったからだ。

そして今、邪魔する人もいなくなり、やっと落ち着いて、これから起こることをじっくり考えることができるようになった。

そして……もっと深いところにある何かを。

私が確信しているのは、慕容端は当時自分を救ってくれた人が白盈盈ではないことを知っているはずだということだ。

帝王学は全ての皇子と皇女が学ばなければならないものだ。

母后と父皇は分けて統治し、我が国では女尊も男尊もなく、人は生まれながらにして平等で、皇子や皇女でさえ、太子様の位は実力のある者が就くのだ。