第6章

狂気は役に立つものだ。

慕容端は怒り心頭で私に会いに来た。

彼は歯を食いしばった。

「宋沐!お前は一体何がしたいんだ?」

私は片手で顎を支え、慕容端の目をじっと見つめ、突然笑い出した。

私が思い込みすぎていたのだ。皇女である私が、命の恩人に出会ったらどうするだろうか?

相手の身分に相応しい褒美を与えるか、あるいは相手の身分を上げてやるか。

それで十分だ。

なぜ私は慕容端を馬鹿にする必要があったのだろう?

「あなたを救ったのが宋沐ではなく、百里櫻だと確信していますね」

私は衝撃的な言葉を突然口にした。疑問形ではなく、断定的な口調で。

慕容端は凍りついた。

彼の体は石のように固まり、これほど多くの情報を含んだ一言が、私の口から率直に語られるとは全く予想していなかった。

彼の最初の反応は、なんと……