第6章

送別会の間中、私は何が話されているのかよく聞き取れず、会議の記録もめちゃくちゃだった。

社長が何度も私の名前を呼ぶまで。

「佐藤ちゃん?」

「佐藤恵!」

「はい!」

やっと我に返った私は慌てて立ち上がり、テーブルの上のノートパソコンを倒しそうになった。

「なんでそんなに慌てているの?」

社長は少し不満げに私を見て:「吉田社長は地方出身で、ここは土地勘がないから、あなたが吉田社長の衣食住の面倒を見てあげて。」

私の心の中で叫んだ!

いやだ!

衣食住って何?

若い狼...いや、吉田社長はきっと私にベッドを温めさせるわ!

私が付き合うなんて、豚に真珠よ。

私、佐藤恵は世間を渡り歩いてきて、芸は売っても身は売らない主義なの!

でも社畜として、上司の指示に対して断る余地なんてある?