第4章

高橋知明が四歳の年のことだった。

家に一人の女性が訪ねてきて、彼女は藤原輝美と名乗り、高橋一郎の友人だと言った。

その名前にどこか聞き覚えがあるような気がしたが、深く考えなかった。

高橋一郎が不在と知ると、彼女はすぐに帰っていった。

しかし、その女性が現れてから。

高橋一郎はめったに家に帰ってこなくなった。

私は毎回高橋知明を抱きしめながら彼の帰りを待っていたが、待っていたのは首筋に噛まれる痛みだけだった。

高橋一郎は相変わらず私の血を吸っていた。ただ私の血だけを。

ある日、高橋一郎が高橋知明を連れ出した後から。

高橋知明は私を怖がるようになり、近寄らせてくれなくなった。

無理に抱きしめようとすると、私に対して殴る蹴るの暴力を振るい、時には叫び声まで上げた。

高橋一郎はその様子を見て、よく彼を外に連れ出すようになった。

それからしばらくの間、家には私と数人のベビーシッターしかいなくなった。

とうとう我慢できなくなった。

高橋知明を強引に捕まえて、はっきりさせようとした。

彼は必死に後ろに引いて、私から逃れようとした。

大声で叫んだ。「輝美おばさんが言ってたよ。お前はヴァンパイアを殺す人で、僕が大きくなったら殺されるんだって!」

私は完全に呆然としてしまい、慌てて高橋知明に説明した。「ママがあなたを傷つけるわけないでしょう?ママは悪いヴァンパイアだけを捕まえるの。」

「お前なんか僕のママじゃない!ただの血袋だよ。僕は輝美おばさんにママになってほしいんだ!」

次第に、私もなぜその名前に聞き覚えがあったのか思い出してきた。

結婚前、私は偶然高橋一郎と彼の両親の会話を耳にしていた。

その会話の中でこの名前が出てきて、惜しむような口調だった。