家に帰ると、田中麗子が部屋で甥を抱いているのが見えただけだった。
山田健一の姿は見当たらなかった。
田中麗子は私を見ると、目に一瞬の後ろめたさが浮かんだが、すぐに消えた。
「お帰り?」
田中麗子は赤ちゃんを私に渡そうとした。
私は慌てて断り、先輩を連れてきた。
「いいえ、友達と出かけるところなの。」
田中麗子は藤原大輔を見て、急に表情が変わった。
私はそれに気付かず、両親が不在なのを確認して、藤原大輔と出かけた。
帰ってきたとき、両親も家にいた。
彼らは藤原大輔を見て、目を輝かせた。
「ご両親は何をされているの?」
「ここに家はあるの?」
「結婚はいつ頃考えてる?婿養子でもいいわよ?」
私はこれらの質問を一つ一つ遮った。
両親が満足して去った後、私は恥ずかしそうに謝った。