第6章

家に帰って、ぐっすりと眠った。この数日間、いつも悪夢で虎が出てきて、毎回噛みつかれる痛みで目が覚めていた。

でも今日はとても安らかに眠れた。

気がつけば夜まで寝てしまい、警察からの電話で起こされなければ、もっと長く眠っていただろう。

警察の話を聞いて、必死に感情を抑えながら、喜びを隠して病院へ向かった。

病院に着くと、警察から事の経緯を聞かされた。

三人が誤って虎ヶ岳に入り込み、田中美咲が虎に噛み殺され、遺体は酷く損傷していた。

松本光男は今手術室にいて、虎に両手と片足を噛みちぎられ、頭も岩に打ち付けて大きな穴が開いていた。現在手術室で救命処置中だが、命に別状はないという。

私は驚いた。松本光男の命の強さに、これでも死ななかったのか?

一方、松本昇太は逃げる時に足を捻っただけで、治療すら必要なかった。