第9章

そうです。私は飛行機の中で人脈を通じて調べたところ、田中昭夫という男は悪事の限りを尽くしていました。多くの女性を妊娠・中絶させ、家庭を崩壊させただけでなく、脱税行為まで行っていたのです。佐藤羽織の提案に従い、私は証拠を集めて警察に通報し、田中昭夫の行為を告発しました。

「女を奪えないからって卑怯な手を使うなんて！お前は本当の男じゃない！」

田中昭夫は唾を吐き、私に向かって突進してきて、顔面を殴ろうとしました。

私は特別体格がいいわけではありませんが、長年ジムで鍛えているので、こんな弱虫を相手にするのは問題ありません。それに、田中昭夫は性的な乱れで腎虚が極限まで進んでいる様子で、山下優花がどうしてこんな男を好きになったのか理解できませんでした。

私は彼の手首を掴んで軽く振り払うと、田中昭夫は地面に投げ飛ばされました。

「ふん！お前みたいな男なんて、一生誰にも相手にされないぞ！」

田中昭夫は顔を真っ赤にして、お尻を払いながら立ち上がり、再び攻撃しようとした時、遠くから山下優花が来て彼を止めました。

「優花、どけ！」

山下優花は暗い表情で、私の前に立ちはだかりました。

田中昭夫は目を丸くしました。

「優花！お前、頭おかしくなったのか？この男はお前を捨てたんだぞ、なのになんでまだ寄っていくんだ？！」

「言ってみろよ、俺のどこが悪いんだ？まさか俺が奴に劣るとでも言うのか？」

この時になってようやく私は理解しました。田中昭夫が山下優花に執着する理由は、彼が心の底で劣等感を感じているからだったのです。

なるほど、ネット上で渣男として有名な彼にとって、山下優花は使い捨ての彼女に過ぎないはずなのに、なぜこんなに長く関わり続けているのか不思議でした。

今まで引きずってきた理由は他でもない、ただ自分を証明したかったからです。自分が私より優れていることを証明したかったのです。

しかし残念ながら、彼の目的は達成されなかったようです。

「昭夫さん、もういい加減にしてください。私たちはもう終わったはずです。どうして大地さんに絡むんですか？」

「俺が今のお前の彼氏だろ！このクソ野郎が何をしたか知らないけど、俺は今警察の取り調べを受けてるんだぞ。俺のことも考えてくれよ！」

「勘違いしないで。最初から最後まで、私はあなたのことなんて考えていませんでした！」