第3章

堀川智博は堀川美佳に依存するだけのクズだが、本人はそれを認めようとしない。家族で唯一の男の子だから、美佳が自分の面倒を見るのは当然だと思っている。

このクズは自分がクズだと気付いていないどころか、自分は有能だと思い込んでいる。

私が容赦なく堀川智博を叱責するのを見て、堀川美佳の表情も良くなかったが、彼女の頬はまだヒリヒリと痛んでいたので、私に反論する勇気もなかった。

「正義は人の心にあるなんて信じない。自分で正義を取り戻したいだけよ!あなたたち姉弟は邪魔しないで。」

もごもごと、なかなか言葉が出てこない堀川智博を見ていると、心の中でむなしさを感じずにはいられなかった。

私と堀川美佳は高校時代からの知り合いだった。彼女は美人で、感情知性も高く、弁が立ち、クラスでは男子に人気があった。唯一の欠点は、考え方が古風なところで、それが原因で以前の彼氏たちと別れることになった。