第6章

休憩室の外に隠れて、高橋誠司が出て行くのを見届けた。

その瞬間、私は自分の気持ちを言い表せなかった。気持ちが落ち着く前に、休憩室のドアが開いた。

白衣を着た医者らしき人が私に尋ねた:「何かご用でしょうか?」

中から柳田千春の声が聞こえた:「誰?」

その医者が私をじっと見つめ、私は緊張のあまり、すぐに自分の名前を告げた。

結局、休憩室で柳田千春にお茶を勧められる形になった。

「先ほどは失礼しました。まさか貧血が出るとは思いませんでした。」

そう言っているものの、彼女の声の調子や声量からは、病人には全く見えなかった。

貧血患者として、私はよく分かっている。

発作が起きると、頭の中がぐちゃぐちゃになり、体がふらふらする。柳田千春の今の様子とは全く違う。

「何がしたいの?」