第2章

「お姉さん、お昼は何が食べたい?作ってあげるよ」

声が聞こえて、私は慌ててスマートフォンの画面を消した。

振り向くと、キッチンで忙しそうにしている彼の姿が目に入った。

彼は私の義弟で、妹の夫であり、そして私の夫の兄弟でもある。

以前、夫が家を買う時にお金が足りなかった時、残りの半分を出してくれたのは彼だった。

その時、女性にお金を出させてはいけないとも言っていた。

妹もよく、彼女の夫は強引すぎると言っていた。

でも、顔に浮かぶ幸せそうな表情は作り物ではなかった。

荘田昇は私が答えないのを見て、出てきて両手を私の肩に置き、額に触れた。

「何を食べたいか決まらない?」

私は血の気が引いた顔で微笑んだ。

「濃い目の味付けのものが食べたいんだけど、妊娠したばかりだから大丈夫かしら?」

荘田昇は私のお腹を見て、唇を引き締めて微笑んだ。

「大丈夫だよお姉さん、妊娠に影響なくて、かつ口に合うものを作るから」

私は頷いて、お礼を言った。

荘田昇はイラストレーターで、フリーランスだ。

イラストレーターが、どうしてこんなにも妊婦の禁忌に詳しいのだろう?

私の心は沈んでいくばかりだったが、何の証拠もなかった。

「そうだ、お姉さん、今日は義兄さんのご飯を私が持って行くよ。妊娠中だから体を休めないと」

確かに、荘田昇はベビーフェイスで料理も上手いが、行動は強引だ。

時々、私も妹も彼の段取り通りに動かされている。

今考えると、彼のこういった采配には別の思惑があったのかもしれない。

ちょうど証拠が見つからなかった私にとって、今の荘田昇の行動は絶好の機会だった。

「ありがとう、お願いするわ。私は休ませてもらうわ」

私はこの機会を利用して、Twitterにログインした。

以前見かけた方法を真似て、すんなりと夫と荘田昇のアカウントを見つけることができた。

やはり、彼らは本当に恋人同士だったのだ。

私の心は沈みに沈んだ。こうなった以上、急いで妹に伝えなければ!