いつの間にか、空が明るくなっていた。
荘田昇は私が携帯をいじっているのを見ても、怒る様子はなかった。
私には分かっていた。彼は隠しアプリのことなど思いもよらないだろうと。
「このステージをクリアできないから、あなたがクリアしてくれないと進めないの」
私は携帯を彼に渡した。
ゲーム依存になるのを恐れて、わざと鈴木望の携帯にゲームをダウンロードしていたのだ。
鈴木望は困ったような表情を浮かべ、携帯を手に取ると5分もかからずにステージをクリアしてくれた。
「おとなしく家にいて、私が帰ってくるのを待っていて」
私は頷いた。
目が覚めると、もう午後だった。
荘田昇が私のベッドの横で絵を描いていて、目が覚めた時にはびっくりするところだった。
「どうして入ってきたの?」
荘田昇は画板を横に置き、笑みを浮かべた。