第26章 結果は自己責任

「育ちがなんとかって言われても、あなたのような老いぼれ妖婆には及びませんよ。あの時、夫も子供も捨てて出て行った時、育ちなんてどこに捨てたんですか?」ついに、野村香織は立ち上がり、二見碧子に激しく反撃した。

当時、二見碧子は渡辺家が貧しく、良い暮らしができないことを嫌って、渡辺大輔を産んだ後に離婚を選んだ。この件は大きな波紋を呼び、多くの年配の人々が知るところとなり、これは二見碧子の人生で最も非難される痛点となった。

二見碧子は怒りで目が眩むほどだった。普段から美容に気を使っていたおかげで気絶せずに済んだものの、これほどの年月が経っても、時間が全てを薄れさせると思っていた彼女の黒歴史を、今野村香織に面と向かって指摘されたことで、心中で言いようのない屈辱を感じていた。

野村香織は手を出さなかったが、まるで二見碧子の老いた顔を平手打ちしたかのようだった。もはや上品さや優雅さ、名家の品格など気にも留めず、近くに置いてあった装飾品を掴んで野村香織に投げつけた。

「野村香織!あんたなんかただの拝金女!黙りなさい!」二見碧子は怒鳴った。

「まあまあ、老いぼれ妖婆、言い負かされたから手を出すの?年寄りの威を借りて、私たちが仕返しできないと思ってるの?」小村明音は野村香織を引き寄せて避けながら、軽蔑した表情で言った。

野村香織は小村明音に目配せをして手を出さないよう示し、その後携帯を取り出して電話をかけた。

その時、嘉星グループの会議室では、渡辺大輔たち幹部が会議中で、秘書の岡山洋子が議事録を取っていた。テーブルに置かれた携帯電話が突然鳴り出した。

突然の着信音で、それまで緊張していた雰囲気が一瞬凍りついた。全員が岡山洋子を見つめた。グループの会議規定では、会議中は全員の携帯をマナーモードにするか電源を切るかしなければならず、違反すれば相応の処罰を受けることになっていた。岡山洋子自身も驚いた。今日は忙しすぎてマナーモードにするのを忘れていたのだ。周囲に謝罪の笑みを向けながら、岡山洋子は携帯を手に取って画面を見た。眉をひそめる。

岡山洋子は渡辺大輔を見たが、彼は無表情で自分を見つめていた。慌てて携帯を持って会議室を出た。少し呼吸を整えてから、電話に出た。